"いつの日か君と" コード解説 前編 [ボーカロイド曲：制作中]
先々週、コード理論の参考書について書きましたが、今回は実践編と言うことで、先週、アップした製作中のオリジナル曲のコード進行について書いてみます。込み入った内容になりますが、コード進行に興味がある人もいるかもしれませんので参考になればと思います。作曲しない人には、意味不明な記号の羅列でスイマセン。
始めに基本的な情報です。キー（調）は、Aメジャー（イ長調）でシャープが、F、C、Gの3つに付きます。今回、説明する部位にはテンション・コードはなく、弦楽器のアレンジに合わせたクラシック風なコード進行になってます。
縦線（｜）の区切りが1小節を表記しています。音源は先週アップしたものと同じで、弦楽器とオーボエの伴奏のみになります。メロディーが入ってない分、コード進行は分かりやすいかと思います。
◆イントロ 00:00
| A E | F#m C#m E | A E | F#m C#m E |
音源にはありませんが、その後のサビのコード進行を転調して流用しています。ドミナント・モーションを用いた基本的なコード進行です。
◆Aメロ（1回目） 00:13
| A D(onA) | E(onG#) C#m7 | F#m7 Bm7 | E7sus4 E |
| A D(onA) | E(onG#) C#m7 | D B7 | E G#7 | C#m B | B B♭7 |
1～2小節
Dコードの5度をベース音に転回したコード（分数コード）です。コードの役目としては変わりませんが、前のAコードからベースが動かないので、少し緊張感が出ます。同様にEコードの3度のG#をベースとして緊張感を持続させてます。
7～8小節
キーAでは、本来、Bm7ですがB7に変えてます。音源にはないですが、コードに合わせてメロディーのD音にも＃が付加されます。これは、次のEコードに対するセコンダリー・ドミナント7thです。つまり、キーがEに転調した場合のドミナント・モーションを拝借してます。
8～9小節
ここも本来のG#dimからG#7へ変えてます。次のC#mへのセコンダリー・ドミナント7thと見せかけて、実際にはドミナント・モーションで転調を導きます。
9小節
2小節の短い間奏で、キーはC#mへ転調しています。Dにシャープが1つ増えます。
10小節
B♭7は、キーC#mから外れたコードです。B→B♭7は、機能的なつながりのない不自然な進行なので各楽器のメロディーの流れでスムーズに処理しています。次のAメロ２回目へは、B♭7→Aとなり、置換ドミナント（裏コード）です。ディミニッシュ・コードと並んで、キーから外れたコードを使う場合に多用されるコード進行です。
◆Aメロ（２回目） 00:47
| A D(onA) | E(onG#) C#m7 | F#m7 Bm7 | E7sus4 E |
| A D(onA) | E(onG#) C#m7 | D B7 | E F#7 | G7 |
７小節目までは1回目と同じコード進行です。
8～9小節
本来のF#m7からF#7へ変え、キーにないG7が出現してます。ここはいろいろな解釈が可能な難しいコード進行です。キーEと考えて、E→F#m→B7がセコンダリー・ドミナント7thでE→F#7→B7となり、さらにB7がG7に置き換わりE→F#7→G7となるのが一つの解釈です。B7とG7の入れ替えは、B7をBdimに変えれば、BdimとG7の構成音がほぼ同じなため可能になります。また、キーが長調から短調（A→Am）に一時的に転調して、G7が出現したとも言えます。また、Bメロへは、G7→F#mとなり、ここも置換ドミナントです。
◆Bメロ 01:16
| F#m D | Bm A | F#m D | Bm E | F#m |
A→F#mとマイナー調っぽくなりますがシャープの数は変わず基本的なコード進行です。
と言った感じで、なかなか難解かもしれませんが、コードの入れ替え（代理コード）とドミナント・モーションのいくつかの変形を覚えると、このようにキーから外れたコード（ノン・ダイアトニック・コード）を使うことができるようになり、ハーモニーが多彩になります。
曲の途中までですが、続きはまた機会があれば、、、。
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（製作期間 ： 2015年9月～）
Copyright 2015 Katsumi Ochiai
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