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宅録史5:複雑なものから法則を探せ [連載読み物]

自宅録音の黎明期を語る自分史の続きです。

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しばらくの間、歌謡曲を作曲してましたが、やはりハードなインストをやりたくなりました。そこで、1曲作りましたが、、、(こちら)。

まず、ギターの音が酷かったです。以前、書いたようにエフェクターから直接ミキサーへ入力して録音してたのですが、歌謡曲の時はクリーンな音色だったので何とかなりましたが、エフェクターで歪ませた音はとても酷い音でした。当時はアンプシミュレーターなどの機材もないので、ハードロック固有の歪んだ音色は、大きなアンプで大音量を出してマイクで録るしか方法がありませんでした。しかし、防音設備のない自宅では無理です。

それよりもギターが下手でした(エレキを買って、まだ2年です)。インストはどうしてもアドリブなどの高度な演奏技術が必要になりますが、それは無理な話。自分にはまだ早いと思いました。まだ、ハードなギターを録音するすべもなく、次に目をつけたのはクラシックでした。

ポップス、ロックと同じようにクラシックも好きで、ラジオでよく聴いてました。しかし、作曲のお手本として聴くには難解なのは訳が分からないので、バッハなどのバロック音楽が好きです。まずは、この辺に手をつけようと思いました。

まだ、音楽理論を勉強してないので、大編成のオーケストラなどが分かるはずもなく、小編成の室内楽やオルガン曲が多いバロックに目をつけたのは正解でした。まずは、前にラジオで何回か聞いたバッハのバイオリンのソロ曲の譜面とレコードを買ってきました。が、しかし、このもくろみは大きく外れることになりました、、、。

譜面を見ても訳が分かりませんでした。そこには、#やbだらけの音符が並んでいました。不協和音ぽい個所はともかく、聴いた感じは何気なく流れるようなメロディーであってもいっぱい並んでいました。当然、歌謡曲で身につけた「コード進行の法則」では歯が立ちませんでした。

それよりも、もっと驚いたのはメロディーが同時にいくつも演奏されていることでした。そこにあるのは、伴奏(=コード)とメロディーという図式はなくて、各パートが勝手に演奏しているのに全体でハーモニーになっていると言うものでした。バイオリン一つでこれをやられたら一たまりもありません。降参でした、、、。

が、それも悔しいので譜面とレコードを比較して何度も何度も聴きました。そして、おぼろげながらも複雑さの中にも「法則」があることにに気が付きました。知識・理論も知らずにとにかく耳で覚えて、それを模倣して2曲作ることに成功しました(他に未完成は山ほどあります)。当然、クラッシックの楽器はないので(当然シンセも持っていない)ギターとMTRで何とかして録音しました(こちらこちら)。

宅録史_05

その後、書物から知識・理論を修得して「どんなに複雑なコード進行でも最初に発見した3つの法則で説明出来ること」、「複数のメロディーが同時になるのはポリフォニーと言ってハーモニーの基礎であること」に気付いたのは、7、8年ほどたってからです。

その後、この教訓からシンプルなコード進行でもただ単純にコードを並べることはやめるようになりました。コードと言うものは音楽を良く分かっていない人に簡単にハーモニーを教えるものであって、各声部が別々の歌を歌うように「奇麗に」配置しなければ、本当のハーモニーは得られないことに気付きました。そして、我々がやっているような音楽は、クラッシックの世界では200年前にすでに「古い」ものになったものの焼き直しなのであることにも気付きました。深遠な音楽の世界を垣間見たことによって、さらに作曲に励むことにないります。

 今回の教訓:すべてはクラシックに学べ

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