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宅録史3:何度でもやり直せ [連載読み物]

自宅録音の黎明期を語る自分史の続きです。

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何とかドラム・パターンを習得して本格的に曲を作り始めました。しかし、ウォークマンを使った録音は限界に来ていました。今までの曲は1~2分でしたが、それでも途方もない回数をやり直して弾いてました。普通の長さの曲を作ろうとしたら4~5分間、間違えずに弾かなければなりませんが、ギター2年目では不可能な事でした。

雑誌の知識で、プロはマルチ・トラック・レコーダー(MTR)と言うものを使っていて、それを使うと楽器毎にバラバラに何度でも録音をやり直せて、しかも、間違えたら部分的に録音し直すことが出来る事を知りました。ミスってもやり直しが利くことに「プロはずるいことをしている」と思いつつ、これは是が非でも手に入れなければならないと思ってました。

そうこうしているうちに、TASCAM(=TEAC)からPARTA ONEというMTRが出ました。TASCAMは、少し前からアマチュア向けの廉価なMTRを出し始めてましたが、一気に半額以下の製品を世に出したのです。バイトで稼いだ10万円を握りしめて、またしても新宿へ向かいました。しかし、当時の少ない情報ではMTRの仕組みは分からず、実物を前にして「一体これは何なんだろう?」とさんざん迷いました。最後は、音の良いカセット・デッキだと自分に言い聞かせて買いました。本当に何なのか理解せずに10万円を払いました。

宅録史_03

PARTA ONEは4トラックのカセット・レコーダーと4チャンネルの簡単なミキサーが一体になった物です。テープへの録音は、新しく録音すれば前の音は消えるのが普通ですが、MTRは前に録った音を消さずに、それ聞きながら別のトラックへ新たに録音できます。こんな事を理解するのに何日もかかりました。また、ミキサーという概念もよく分からず、音を出すのも一苦労でした。しかし、努力の甲斐あって、ミスった演奏の録り直しや各楽器のバランス(音量)をとったミックスダウンが出来るようになりました。

そして、4トラックを使って下記の編成で曲を作り始めました。

◇ドラム 前回、買った物。モノラルで録音する
◇ベース ベースは持ってなかったので、ギターにベースの弦を2本張って弾いた
◇サイド・ギター ギター用のペダル・エフェクターをかけて録音
◇メロディー サイド・ギターと同じです

ギターはエフェクターから直接ケーブルでミキサーへ入力しました。アンプシミュレーターなどない時代なのでかなりチープな音色ですが、安物のマイクを使わなくなったので音質は格段に向上しました。

こんな感じで曲作りを再開しました。曲の途中からやり直しがきくとは言え、成功するまで何度でも録音をやり直すことには変わりなく、結果として途方もないギターの練習にもなりました。

 今回の機材:TASCAM PARTA ONE

 今回の一言:録音機材は不可能を可能にするが、下手な演奏が上手にはならない。

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