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宅録史7:すべて機械にやらせろ [連載読み物]

自宅録音の黎明期を語る自分史の続きです。

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MTRを駆使してひたすらギターやシンセを実際に弾いて多重録音してましたが、すぐに限界が訪れました。この時点で機械が演奏してくれるのはドラムマシンのみ。ギターは、そこそこ弾けるようになってきましたがシンセやベースは難しい。そして、何よりも、すべての楽器を録音してみないと、今作っている曲が良いのか悪いのか自分でも判断出来ないのが問題でした。

作曲の過程は、完成図が最初から出来ていることはなくて、ひたすら試行錯誤の繰り返し。アレンジを変えるごとに「演奏を練習、そして録音」を繰り返さなければなりません。重ねる楽器が増えアレンジが複雑になるにしたがって、1曲作るのに果てしなく時間がかかるようになりました。曲の完成の見通しが立たなくなり、この頃、何ヶ月も取り掛かったきり結局完成しない曲が山のように貯まってきました。

そして、転機がやってきました。Rolandから格安(と言っても約13万円)のシーケンサーMC-300が発売されたのです。MTRの時と同じように、これで何が出来るのか何も分からないままお茶の水まで買いに行きました。

今でこそシーケンサーはパソコン上で動くアプリが一般的ですが、MC-300は単体の機械です。その機能はMIDIの打ち込みのみで、それさえも機能は現在の初心者用アプリの10分の1(100分の1?)もありません。もちろん、オーディオの録音も出来ないので、シーケンサーとMTRを同期して、ドラム、ベースと簡単なシンセの伴奏をMC-300へ打ち込み、ギターは今まで通りにMTRに録音します。MTRの1トラックにはシーケンサーとの同期信号を入れるため、残りの3トラックしか使えなくなってしまいました。

シンセはCZ-1000では役不足なので、CASIO VZ-1を買いました。これは、あまり売れなかったモデルですが、当時、爆発的に売れていたYAMAHA DX-7は高くて買えなかったので、こちらになりました。値段相応で、ベースやピアノなどの音色はとてもリアルとは言えませんでしたが、同時に複数のパート(チャンネル)を1台で演奏出来るようになりました。

宅録史_07

これで、ギター以外は録音しなくても済むようになり、作曲も録音も作業時間が約10分の1に短縮しました。特に、試行錯誤せずとも、打ち込みのエディットでいかようにも変えられるようになったのが利点でした。ただし、英数字しか表示されない小さな液晶でエディットするのは、かなりの専門的なMIDIの知識が必要ではありました。

これで自分のギター以外のパートはすべて機械に演奏させることが出来るようになりました。まさに機は熟しました。この時作ったハードなインスト3曲は、とうとう作りたかった物が作れたと言えます(こちらこちらこちら)。

 今回の機材:Roland MC-300、CASIO VZ-1

 今回の一言:機材の進歩は、作曲の習熟よりも早い
(どんどん勉強しないと機材を買ってばかりで1曲もできなかったりして)


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