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宅録史12:またまた勉強しろ [連載読み物]

自宅録音の黎明期を語る自分史の続きです。

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マックを手に入れて、まず取り掛かったのは、またしてもクラシックでした。以前、学生時代に猛烈にクラシックを勉強しましたが、当時、楽器はギターしかなく、弦楽器曲やピアノ曲を作っても、演奏して録音することは不可能でした。複雑な演奏をマックでコントロール出来るようになり、シンセと打ち込みで何とかなるかと考えました。

そこで、クラシック系の楽器が鳴らせるシンセを買うことにしました。選んだのはGM規格の音源のスタンダードとして爆発的に売れていたRoland SC-55mkIIです。値段が安く音のクオリティーは低いですが、クラシック系の楽器が多く入っているので都合が良かったのです。

GM規格の音源は音色の配列が決まっている事から、他人と曲のシーケンス・データーをやり取りする事ができました。当時、まだインターネットはありませんでしたが、パソコン通信を始めていたのでデーターのやり取りに便利だと言う理由もありました。

そして、初心戻ってクラシックの勉強を始めました。今度は、バッハから時代を経てショパンなどをマックで打ち込んでコードなどを研究しました。そして、学生時代の作りかけを完成させたり、新たに作ったりで3曲を完成させました(こちらこちらこちら)。

クラシックの勉強の過程でマックを使いこなせるようになりました。MC-300に比べて飛躍的に効率が上がり複雑な打ち込みが出来るようになりましたが、逆に不満も多く感じました。一見、パソコンは何でも出来そうですが、その実、ソフトを買わなければ何も出来ません。やりたい事が出来るソフトがあれば良いですが、なければ簡単な事も出来ません。

例えば、シンセやエフェクターは、ボタンやつまみでやる操作はもちろん、つまみで出来ない裏技も、ほとんどすべてMIDIで遠隔操作が出来ます。となればパソコンの大きな画面でシンセをエディットしたり、シーケンサーで曲の途中に操作したりしたくなります。しかし、ソフトがなければそれまでです。

何でも作る事が好きなこともあり、ソフトも自分で作ることにしました。幸いマックには、「MAX」と言う音楽用の良いプログラミング・ソフトがありました。プログラム・コードを何千行も書かなくて済むと言う点では、比較的垣根の低いソフトでした。が、しかし、やはり、プログラム。難易度は作曲の比ではありませんでした。音楽から何ヶ月も道草を食うことになりました。出来たソフトの数々は商売もできるレベルだった気もしますが、かろうじて道草から戻り、音楽を再開することになります。

宅録史_12

 今回の機材:Roland SC-55mkII、Opcode MAX 2.0

 今回の教訓:なせばなる(が睡眠時間は限りなく少なくなる)

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BOSS DM-2(アナログ・ディレイ) [楽器・機材紹介]

今回はとても古い機材の紹介です。BOSSのアナログ・ディレイDM-2です。エレキ用のペダル・エフェクターです。現在、発売している技シリーズのDM-2Wではなくオリジナルの方です。DM-2を使ったアドリブ演奏を動画で紹介します。

BOSS OD-2

DM-2は、エレキを買ってすぐに友達からもらいました。なので、自分にとっては初めてのエフェクターとなります。1982年頃です。ディレイは、こだま(山びこ)的な残響を作るエフェクターです。いわゆる泣きのギター的なスローテンポのリード・ギターには必須アイテムと言えます。

現在では、リバーブを含めて残響系のエフェクターは高品位なデジタルのエフェクターやPC用のプラグイン・アプリがたくさんありますが、当時はまだデジタル機器は黎明期でした。当時、出始めのデジタル・ディレイは何百万円もして、まだ鉄板やスプリングを用いた大掛かりな装置が主流でした。そのような時代背景なので、アナログとは言えペダル・エフェクターのサイズにディレイが入っていると言うのは、それだけで凄い機材だったのです。

3つのつまみは、REPEAT RATE:ディレイタイム、ECHO:エフェクトの音量、INTENSITY:フィードバックです。肝心の音ですが、現在のデジタルの音とはまったく異なり、ものすごく劣化した音がこだまとして鳴るだけです。INTENSITYを最大にすると発振したような音になってかなりクレイジーだったりで時代を感じる音ではあります。

当時、自分はオリジナル曲の録音で自然な残響(今で言うとルーム・リバーブ)の代わりに、すべてのエレキのパートにかけて録音してました。ディレイ・タイムを極端に短くし、フィードバックを多めにして、僅かにエフェクト音が聞こえる程度のセッティングで使ってました。その後、1987年頃にデジタル・リバーブのRoland DEP-5を購入し、DM-2は役目を終えました。

今回、30年ぶり(?)にDM-2を使って演奏動画を作ってみました。アドリブの一発録りです。やっぱり、ロング・ディレイのこの音は気持ち良いですね。演奏ですが、バックのシンセはRoland XV-3080。エレキはいつものストラトBOSS OD-2で歪ませて、DM-2からアンプシミュはLine 6 Pod2.0でRoland JC 120のシミュレートです。では、どうぞ!


リンクはこちら → https://youtu.be/UN2CYmZp0XM

Copyright 2021 Katsumi Ochiai

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歌詞、短歌、日本語 [雑感]

自分は歌物を中心に曲を作ってますが、作曲と作詞を合体させる、つまりメロディーの音数と詞の文字数を合わせる作業はなかなかコツがいります。この辺りの雑記をつらつらと書いてみます。

My lyrics

音符の数と文字の数を合わせることは決められた文字数で言葉をつないでいくことで、やってることは短歌や俳句と同じです。自分は短歌などを学んだことはありませんが、五七五七七で何か書けと言われると、あまり悩まずに出来てしまったりします(短歌としての出来の良し悪しは分かりませんが、、、)。やはり、歌詞を作ることで、文字数に制限がある中で言葉を選ぶ訓練が出来ているのかもしれません。

日本的な雰囲気のある歌は五七調の文字数になっていることが多く、特にボカロ曲には多いようです。自分も意図してやる時があります。短歌も本来はメロディーがある歌が由来なので、五七調の言葉をメロディーに乗せることは日本人の琴線に触れるのだと思います。

逆に、英語は1文字=1音ではないですし、母音のない子音中心の発音によって前後の単語がつながって発音されたりと音数がはっきりしない場合も多く文字数と言う概念がありません。なので、英語圏では短歌・俳句的な文字数に制限のある文学は生まれなかったのだと思います。

その曖昧な文字数のせいか、シンコペーションなどリズムと合ってない発音も多いです。ただ、それが流れるようなメロディーだったりスピード感のある展開だったりと、ロックやポップス、いわゆる洋楽的なノリの源泉だったりします。自分もこれは意識してやっていて、小節の頭にある音を8分音符分だけ前にシンコペーションさせてノリを変えたりしてます。

とかとか、曲の雰囲気は歌詞の文字数でもかなり変わる、、、って雑記でした。

タグ:歌詞
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"Hope in the darkness"エディット編 [ボーカロイド曲:制作中]

先週公開したボカロのオリジナル曲"Hope in the darkness"、いつものように製作後記です。今回は、珍しくPCでの音声編集、ベースの修正作業を紹介します。


自分の曲のほとんどはベースとギターが生演奏の録音、残りはシンセサイザーやサンプリングでPCへの打ち込みです。いつでも簡単に修正できる打ち込みと違って、録音の方は録ってしまうと修正で出来ることは限られます。

なので、満足が行くまで何度も録り直しますが、ベースは得意でないので限界もあり、録った後にPC上で修正することもあります。今回の曲のベースはとても難しかったので、いつもより修正が多めでした。その作業の一部を紹介します。

Bメロの冒頭の8小節、録音した波形です。37・1からの数値は小節・拍数です。
◆録音した状態
Hope in Audio Origin 1
◆修正した状態
Hope in Audio Edit 1
波形を8個にカットしてます。40小節付近にノイズ(開放弦の音?)が混ざったので音を差し替えてます。その他は、微妙にタイミングを修正してます。
◆修正した状態(拡大)
Hope in Audio Edit 2
修正の例。38小節3泊の音が少しもたっていたのでタイミングを前に出しました。画面上で波形を動かすとタイミングも変わります。波形で視覚的にズレが分かる場合もありますが、最後は聴いてみて判断です。で、実際の音です。
◆録音した状態

◆修正した状態

違いが分かりますかね? ノイズの所は分かると思いますが、タイミングは修正したと言っても数ミリ秒(1000分の5秒)とかなので自己満足ではありますね。でも、制作中は耳が敏感になるので、結構、気になるし、最後の仕上がりで違いがでるような気がします。

いつものようにトラックの構成も書いておきます。
Hope in the darkness PinoRoll
 シンセサイザー ドラム Roland XV-3080 : 1トラック
 シンセサイザー シンセ類 Roland XV-3080 : 8トラック
 サンプリング スネア : 1トラック
 サンプリング  イントロ: 1トラック
 ベース : 1トラック
 エレキ・ギター : 2トラック
 ボーカロイド : 3トラック

(製作期間 : 2020年10月~12月) 

Copyright 2021 Katsumi Ochiai

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"Hope in the darkness" feat. MEIKO [オリジナル曲:ボーカロイド]

明けましておめでとうございます。今年もオリジナル曲の紹介を中心にブログを書いていきますので、よろしくお願いします!

1回、間を空けましたが、作詞編ベース録音編エレキ録音編と制作過程を紹介してきたボカロのオリジナル曲が完成しました。今回はメロディアスなメタルアレンジのシンプルな歌物です。今回もオリジナルのイラストを使った動画を作ったのでご覧ください。


リンクはこちら → https://youtu.be/LJkqaETksSU

前曲に続いてエレキを弾きまくりの路線の予定だったので、それならメタルだってことで作り始めました。でも、いつものように歌中心になってしまってアドリブはかなり短くなってしまいました。ハードなアレンジを除くといつもの自分の路線ですね。

とは言っても、メロディアスな歌とモダンなメタルのアレンジ、かなり好きな雰囲気に仕上がりました。こう言うのは作ったことがなかったので新境地です。自分では気に入りました。エレキのアドリブもガッツリ弾けたし、最初の構想からは変わっちゃいましたが大成功でした。

演奏ですが、ドラム、シンセ類は打ち込みのシンセ(Roland XV-3080)。サンプリングも使ってます。いつものベースMaxon CP-9MXR M80 Bass D.I.+の組み合わせ。エレキのバッキングはいつものフライングV、リードはいつものストラトで、アンプシミュはLine 6 Pod2.0でMesa Boogie DUAL RECTIFIER(1994年)のシミュレートです。ボーカロイドは、MEIKO V3です。

動画と同じ音源ですが、いつものようにMP3もアップしておきます。


(製作期間 : 2020年10月~12月) 

Copyright 2021 Katsumi Ochiai

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