SSブログ

How to mixdown ! [4thアルバム:制作中]

 春ぐらいから、オリジナル・アルバム用の曲のミックスダウンをしています。ミックスダウンをしては、しばらく時間を置いて、聴いてやり直しの繰り返しなので、一向に進みません。曲を16曲も録ってしまったので作業量も多くて大変です。

完成まではまだしばらくかかりそうなので、今回はミックスダウンの作業を紹介します。曲は、"Tomorrow Is Another Day"です。以前、曲のアレンジ&録音過程を紹介したので、そちらもご覧になると制作過程の全体が分かるかと思います。

・サンプル・ループの制作 → こちら
・アレンジ&録音作業 → こちら
・ラフミックス作業→ こちら

かなり細かな音作りなので、それなりのヘッドフォンやスピーカーでないと聴き分けられないかもしれませんので御了承を、、、。

◆ラフミックス
各楽器の録音後に音量とパンの調整を行った状態です。すでに曲にはなってますが、これからミックスダウンの作業で音のクオリティーを上げます。

◆ドラム&パーカッション : 素材
ドラムとパーカッションのサンプル・ループとオカズ(フィルイン)としてシンセのドラムも混ざってます。まずは素のままの音です。

◆ドラム&パーカッション : ミックス
イコライザー(EQ)で低音を下げバランスを取った上で、リミッターで全体の音量を上げてます。また、ルームリバーブをかけてます。この段階で、ミキサーのマスターアウトへもリミッターをかけて、さらに音圧を上げます。

◆ドラム&パーカッション+ベース : ミックス
ベースを足しました。若干、低音を下げてドラムの低音(バス・ドラ)とのバランスを取ってます。また、中低域を上げて、歪みっぽく聴かせてます。
ロック系の曲の場合、ここまでで曲の骨格が決まるので、EQやリミッターの調整に時間をかけて、納得がいってから次へ進みます。また、すでにレベルメーターは振り切っており、曲の音圧はこの段階で決めてしまいます。

◆エレキ・ギター、サイド・ギター・クランチ : 素材
軽く歪んだギターの伴奏です。録音時にアンプ・シミュレーター(Line 6 Pod)のリバーブを軽くかけています。

◆エレキ・ギター、サイド・ギター・クランチ : ミックス
リバーブとエコーをかけました。どちらもエフェクト送りで使用しており、他の楽器と共用です。伴奏の楽器はエフェクト送りで同じ残響をかけた方が、各楽器が馴染んで聴こえます。エコーのタイムは8分音符ですが、左右を少しずらして広がりを出してます。

◆アコスティック・ギター : 素材
マイク録りのアコギです。録音時に、少しリミッターをかけてます。

◆アコスティック・ギター : ミックス
少し高域を上げて歯切れを良くしています。あとはエレキと同じ残響処理です。かなり残響が多いですが、エレキと異なり音圧が低いので、他の楽器と混ざるとこのぐらいがちょうどよいです。

◆伴奏の完成:ミックス
さらにシンセのストリングス等を足して、伴奏のミックスが完成しました。
実際には、各パートを足すごとに前に作業したパートも微調整が入ります。音量とパンを微妙に調整して各パートの音域が重ならないようにし、各パートが聴こえることと音圧が飽和しないことの両立を図ります。

◆エレキ・ギター、リード・ギター : 素材
メインのメロディーです。録音時にコーラスと軽くリバーブをかけてます。少し高域を上げて録音してます。リード・ギターはこもった音の方が気持ち良いですが、やりすぎるとミックス時に高域が足りなくなるので、録音時は高域を上げて録ります。

◆エレキ・ギター、リード・ギター : ミックス
EQの他、スピーカー・シミュレーターのプラグイン・エフェクトなどで、こもった音に変えてます。さらに、伴奏と同じエフェクト送りのリバーブとエコーの他に専用でショート・ディレイをかけて音を厚く前へ出しています。メインのメロディーの音作りで曲の雰囲気が決まってしまうので、伴奏を鳴らしなら微調整を繰り返します。

◆ミックスダウン完成
すべてのパートの調整が終わり、ミックスダウンが完成です。
ただし、この後、マスタリングの作業があります。CDに入れた時に他の曲との音量や高低域のバランスを取る作業です。そのため、この段階では1~3db音量を低くミックスダウンしています。


と言った感じでミックスダウンの作業を行います。ここにあげた音源は、実際には完成版から設定を戻して再現しました。作業は紹介した順番で行いますが、実際には試行錯誤の連続で、この工程を行ったり来たりです。

音作りに使用したものは、エフェクト送りでリバーブを2個(ドラム用と共用)とエコー(共用)、プラグイン・エフェクトのインサートでエコーとスピーカー・シミュレーター(共にメロディー用)。EQとリミッターは、記述した箇所のみ使用してます。

最後にミックスダウンの解説を、、、
原曲から大幅に変えるリミックスやテクノ・ハウス系などミックスで曲を作る(アレンジをする)ような場合を除いて、ごく一般論です。

残響が増えているのを除くと、多くの人はミックスの前後で大きな変化はないと感じるかもしれません。実際に曲としては録音した段階でほぼ完成していますし、そうなるように完成を予想して個々の楽器のフレーズや音色を決めてから録音しています。EQの調整も大抵は、楽器の音色そのものを変えるようなことはしません。

ミックスでやることは、限られた音量の中で個々の楽器が、最大限、聴きとれるように配置することだと思います。それは音量のバランスのみならず、左右、そして前後などの空間の配置も必要です。同じ周波数域に別の楽器が重なると、どちらかが聴きりにくくなるのと同様に、同じ位置に配置するとやはりどちらかが聴きりにくくなります。

例えば、前に出すためにはリミッターが有効ですし、後ろに下げるためにはリバーブが効果的です。また、前にある音は全域聴こえますが、後ろにある音は高域が減少するので、遠近の演出にもEQは重要です。また、人間の耳は低音の位置が分かりにくいので、ベースなどを右や左にパンを振ると違和感を感じます。

などなど、結局、ミックスの原理は、普段の生活で人間が2つの耳で複数の音をどうやって聞き分けているかと言うことと同じだと思います。

とは言っても自分の作った曲を自分でミックスするのは、客観的判断ができないのでとても難しいです。このミックスも1カ月後に聴いてみて最終判断をする予定です。

(製作:2014年6月)

Copyright 2014 Katsumi Ochiai


nice!(7)  コメント(5)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 7

コメント 5

rimix

録音過程面白かったです。
オリジナルとなれば、コピーより想像力を必要とされると思います。
MIX時、「あれ?足りない」となったあかつきには、気分も急降下なんだろうな~と思います。
MIX時の前後感は未だに悩むところです。
リバーブが有効みたいですね、今度試してみます。

最後は上手く空間が埋まってますね。
マキシマイザーと使ったのでしょうか?
それとも、別な手法があるのでしょうか…
ん~奥が深いですね。
by rimix (2014-06-21 11:35) 

ok-rock

>rimixさん
確かにオリジナルは迷い始めたら完成しなくなってしまいます。なので、打ち込みや録音を始める前に完成形を想像するようにしてます。ミックスの時には、もう悩まない所まで到達してるように心掛けてます。なかなか、そうはいきませんけどね(-_-;)

マキシマイザーは使ってませんが、マスターにかけたリミッターをそれっぽく使ってます。両者は同じものですしね。
使ったものは、記事に書いたものですべてなので、特に秘密の手法はありません。空間を埋めるのは、リミッターや残響も必要ですが、やっぱり最後はパンとフェーダーの微調整が胆だと思います。
by ok-rock (2014-06-21 18:43) 

Joe

力の入った解説をありがとうございます。
勉強になります。

リバーブとは別のエフェクトでエコーをお使いだとありますけど、エコーって何ですか? リバーブやディレイとは別物?

あと、音の確認には何をお使いでしょうか?
使うモニターやヘッドフォンによって音が違って聞こえちゃいますよね。
自分はそれが悩みのタネなんです(^_^;)
by Joe (2014-06-21 23:23) 

ok-rock

>Joeさん
お役にたつでしょうか。久しぶりに真面目に記事を書きました(笑)
エコーはディレイのことです。やまびこっぽく長めのタイムで使ってるので、そう表現しました。分かりにくくてすいません(・・;)
モニターは、Fostexのモニタースピーカーを使ってます。ミックスの時は、バランスが分かりにくいのでヘッドフォンは使いません。

by ok-rock (2014-06-22 09:42) 

ミックス

参考になりました。
by ミックス (2015-06-14 08:13) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0