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宅録史9:1stアルバムを作れ [連載読み物]

自宅録音の黎明期を語る自分史の続きです。

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バンドの活動は好調でしたが、作曲・録音の作業は、また行き詰まりました。シーケンサー(MC-300)と4トラックMTR(Porta One)で、ハードロックのインスト、バンド用の歌物製作と絶好調でした。しかし、絶好調ということは「作曲のレベルが上がる → 機材が対応出来なくなる」のジレンマが、またまた襲ってくるということでもあります。

4トラックといってもシーケンサーとの同期信号の録音に1トラックを使うので3トラックしか使えません。足りないトラック数を補うためにピンポン録音で対応していました。ピンポン録音はトラックを増やすために以前録音したトラックを消していかなければなりません。つまり後戻り出来ないので、最後に失敗に気付いたら、また最初の楽器から録音をし直さなければならず、とても効率が悪かったのです。

また、MTRとシーケンサーの同期はMIDIクロックを使った初歩的なもので、曲の途中から同期ができませんでした。なので、同期しているドラムマシンやシンセを聞きながらのギターの録音はとても厄介でした。

また、ミキサーも入力が足りず、ドラムマシンやシンセサイザーなどの音を取りまとめるのにサブのミキサーを使うなど配線も複雑になり、接触不良などの不具合も日常茶判事でした。

そんな状況を打開するために8トラックのMTR(TASCAM 688)を買いました。定価は38万でした。688は、一般のカセット・テープを用いながら、8トラックでかつ倍速テープを回すことで音質もキープしていました。そして、ミキサーは10+10の20インプットのインライン・モニターです。また、同期も従来のMIDIクロックながら任意の位置から同期出来る独自のものでした。当時としては完璧なスペックを誇っていました。

同期には相変わらず1トラック取られ7トラックとなりますが、ギター以外の楽器はシンセの打ち込みなので、十分なトラックを確保することができました。

さらに、リアルな音が出るPCMシンセ(Roland U-220)を買いました。これは、ドラムの他に6パートの演奏が出来る音源モジュールで、音色は限られますが生楽器のシミュレーションはすべてこれ1台でまかなうことが出来ました。

宅録史_09

録音システムとしては始めて、ギターの録音もMIDIも、すべてがいつでもやり直せることになりました。これは、試行錯誤の多いアレンジ作業において、作業時間の大幅な短縮につながります。短時間で複雑なアレンジを仕上げること出来るようになり、録音のクオリティーも始めて他人に聞かせられるレベルに向上しました。

これで、長年の夢の実現に向けて準備が揃いました。それは、オリジナル・アルバムを作ることです。

 今回の機材:TASCAM 688、Roland U-220

 今回の教訓:歳を取ると後戻りが恐くなる
 (時間ももったいないしね)

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